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MPDS
Materials Platform for Data Science

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・MPDSとは?

 Materials Platform for Data Science(MPDS)は、材料の物性データを提供するデータベースです。ポーリングファイルのプロジェクトチームにより、科学論文などからデータを集めて作り上げたものです。現在でもこの作業は完全に自動化できないため、物理学、化学、材料化学などの約30万件の論文を手作業で読み解き、体系化したものです。結果は現在ではオンラインで入手できます。

・ポーリングファイル

 ポーリングファイル(Pauling File)は材料科学者向けのリレーショナルデータベースです。結晶データ、状態図、無機結晶性物質を同じ枠組みの中にまとめました。実験的観察に重点を置き、データは元の出版物から読み解き、1891年から現在までの世界中の科学文献を網羅しています。個々の結晶構造、状態図、または、物性のデータベースへの記入は、特定の出版物に由来しています。
ポーリングファイルは、1993年にスイスでピエール・ヴィラールによって設立されました。ノーベル賞を二度受賞したライナス・ポーリングはこの新しいプロジェクトを支持し、名前を使用する明示的な書面により許可しました。「ファイル」という単語は、データベースを表す昔ながらの俗語であり、現在でも変更されていません。
今日では、ポーリングファイルプロジェクトは比較的よく知られており、それを参照している数千の出版物が既にあります。基礎、スキーマ設計、データ中心の考察が、ヴィラール(2004)、ヴィラール(2008)、シェイ(2011)、コン(2012)、ヴィラール(2013)らの著作で発表されています。2019年10月にはポーリング・ファイルプロジェクトの創始者であるピエール・ヴィラールは、データ駆動型材料開発を支える基礎研究として名誉のあるNIMS賞の受賞が認められました。
ポーリングファイルを基にした製品はMPDSだけではありません。SpringerMaterials、NIMS AtomWork、MedeAなど他にもあります。詳しくはポーリングファイルのホームページをご覧ください。

・MPDSプラットフォーム

  MPDSプラットフォームはポーリングファイル素材データベースのオンライン版です。全てのデータはブラウザベースのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)とアプリケーションプログラミングインターフェース(API)の二つの方法(オンラインインターフェース)で提供されています。

・マテリアルズインフォマティクス

 近年、ビッグデータや人工知能(AI)などの情報科学技術の発達により、材料開発の分野でも積極的にこれらの技術を利用するマテリアルズ・インフォマティクス(MI)が確立しつつあります。データ駆動型の材料探索において、ポーリングファイルのようなデータベースはその中心部となる可能性を秘めており、21世紀の材料開発においては不可欠となるインフラストラクチャにまでなると認識しています。

MPDSを利用した研究の報告事例

全世界で公開されている論文の中から、弊社が独自に調査しました。

下記の論文の他にも、幅広い分野でMPDSが利用されています。

論文のタイトルをクリックすると、出版社のサイトへ移動します。

Xiaomeng Wang, Bin Xiao, Yihang Li, Yuchao Tang, Fu Liu, Jianhui Chen, and Yi Liu, Appl. Surf. Sci. 531 (2020) 147323

新規ペロブスカイト型酸化物触媒を開発するために、surface center-environment (SCE) feature モデルを提案し、第一原理に基づく機械学習手法を開発した。

Tian Lu, Hongyu Li, Shenghao Wang, and Wencong Lu, ACS Omega 7 (2022) 71583 - 21594.

太陽電池として適切なバンドギャップを有し、かつ鉛を使用しないハイブリッド有機–無機ペロブスカイト(HOIPs)の候補を効率的に発見する新しい逆設計法「proactive searching progress(PSP)」を提案した。

Cem Oran, Riccarda Caputo, Pierre Villars, Hasan Bilal Özcü, Feraye Hatice Canbaz and Adem Tekin, Inorg. Chem  63 (2024) 71583 - 21594.​Inorg. Chem. 20521–20530

周期数の概念を利用して、未知の相に対して結晶構造を予測する方法を提案した。

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